研究室紹介
研究目標
富士山の噴火被害の軽減(減災)や山梨の自然の恵みを考える上で、山梨の自然や富士山の成り立ちを明らかにし、現在の富士山や山梨の自然が歴史の中でどういった位置づけにあるかを把握することが重要です。この目的を達成するために現在おもに次のようなテーマで研究を行っています。
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富士山の噴火の歴史やその影響ならびに活火山としての現状を把握するための研究
火山防災情報等を普及するために富士山火山防災情報センターとして情報発信もしています。
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山梨の豊富な地下水・湧水に関する研究
富士山麓の地下水・湧水や富士五湖の水について、解明を進めています。さらに、山梨県下で、将来にわたっても安全に利用できるように、地下水・湧水の形成過程や入れ物(地下水盆)の特徴などについての研究をしています。
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山梨の昔の環境の変化(古環境変遷)
富士五湖湖底堆積物などを材料に研究を進めています。
研究概要(ニューズレターより)
- 地下水中に含まれる元素と地下水地質情報から探る水の循環システム(Vol.15 No.1)
- 地下水中に記録されている科学的メッセージ(Vol.13 No.2)
- 考査の粒子識別からもたらされる地球温暖化研究(Vol.12 No.1)
- 黄砂から地球規模の環境変化のリズムを探る(Vol.10 No.2)
- 富士山の雪のルーツと雪代災害(Vol.9 No.1)
- 富士五湖湖底に眠る黄砂から気候変動を探る(Vol.7 No.3)
- 富士五湖湖底から探る富士火山(Vol.6 No.2)
- 富士五湖の湖底堆積物に年代を刻む(Vol.5 No.1)
- 地下水・湧水・河川水に含まれるもの(Vol.4 No.1)
- 地球の表情のうつり変わり―山梨の大地に眠る地球環境変遷史を探る―(Vol.1 No.1)
野外調査風景
火山
溶岩流とテフラの調査
河川調査
水質調査と採水風景
トンネル湧水流量調査
地下水調査
甲府盆地 自噴井戸
採水と水位データの回収
湖底堆積物
湖底堆積物の採取風景
室内分析機器
- ガスクロマトグラフ装置(Hewlett Packard 6890)
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本装置は、堆積物や環境試料中の有機化合物の分離・分析に用います。
検出器として水素炎イオン検出器(FID)・電子捕獲型検出器(ECD)を備えており、オートサンプラーによる連続自動分析が可能です。
- ガスクロマトグラフ質量分析計(Hewlett Packard 6890 - JMS-BU20 GCmate)
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ガスクロマトグラフで分離した個々の化合物を質量分析計に導入して質量スペクトルを測定するための装置です。
小型ながら二重収束光学系をベースに設計された質量分析計により、高分解能測定が可能です。
- 安定同位体質量分析システム(Isoprime)
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炭素、水素、窒素、硫黄、酸素の安定同位体比を測定するための装置です。
前処理装置として、元素分析計(EuroEA3000)とガスクロマトグラフ(Hewlett Packard 6890)が接続されており、有機物や有機分子のオンライン全自動測定が可能です。
- 蛍光X線分析装置(RIX3000)
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本装置では、試料にX線を照射し得られる蛍光X線を測定することで元素組成を調べることが出来ます。
地球科学研究室では、主に岩石や土器試料の分析に用いています。
- 走査型電子顕微鏡エネルギー分散型X線分析装置(SEM-EDX)
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電子顕微鏡で観察を行いながら数マイクロメートルの微小な領域の元素分析(定性・定量)を行うことが出来ます。
また面分析機能により、観察領域の元素マッピングが可能です。
地球科学研究室では、本装置により河口湖の堆積物中から黄砂粒子を識別する手法を開発しました。
- イオンクロマトグラフ分析装置(Dionex DX500)
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イオン交換樹脂を充填したカラムで分離したイオン成分の伝導率を測定することで、イオン分析を行います。
主に地下水・湧水中の陽・陰イオンの測定に用いています。