基盤研究
山梨県内地下水の保全と管理―化学的特性および物理的特性からの解明―

研究代表者
輿水達司(山梨県環境科学研究所 地球科学研究室)
共同研究者
内山高(山梨県環境科学研究所 地球科学研究室)
県衛生公害研究所、山梨大学、信州大学、大阪市立大学、福島大学
研究期間
平成19年度~23年度

研究目的

山梨県内の各流域圏(八ヶ岳南麓、甲府盆地、富士山麓等)における水収支や地下水循環システムの解明を目指し、さらに水収支および水質の過去から現在にわたる変化を明らかにし、将来における地下水の保全と管理について望ましい方法を提言する。

研究目標

県内地下水の量的および質的の両面から、将来にわたり安定的利用ができるようにするための基礎資料を提供する。そのために、水利用データ、気象水文データ、既存ボーリングデータ、地下水質データ、地下水位データ等の収集および解析を行う。

全体の研究計画

先行基盤研究において、県内地下水につき特に化学的特性からの検討を行い、水試料中に含まれる特定の元素につき顕著な地域差が浮き彫りにできた。このような地域差をもたらす基本要素に地下地質の関与が想定され、この視点から系統的検討を行い、従来不明であった県内地下水中に含まれる元素濃度偏在の根本的な解明ができ、しかも地下水中の人為影響の地域差についても新知見がもたらされた。

このような地下水中に含有される元素濃度の地域差を検討する中で、地下地質の構成の地下水への影響については、深度の相違についても今後厳密な検討を行う必要性が生じてきた。

また先行プロジェクト研究において富士山麓の地下水の水位・水温等を中心としたモニタリングシステムを確立し、これらのデータの自然災害等への貢献も含めた検討を進めており、このような地下水モニタリングを県内地下水につき、一層広範に展開することが期待される。

そこで本研究においては、地下水の化学的および物理的な視点からの解明を中心に、さらに地下地質の近年における詳細なデータも加味し、互いの関係を基に地下水循環システムにつき解明を図る。これらの検討から、各流域圏における水収支および水質につき、過去から現在にわたる変化を明らかにし、その上で将来における健全な地下水利用について。望ましい保全・管理の方法を導き出す。さらに各流域圏における地下水につき現状の水位・水温等のモニタリングを実施するために、新たに八ヶ岳南麓地域に観測井を設置する。