特定研究
富士五湖(特に河口湖)の水質浄化に関する研究―湖底堆積物の物理的および化学的性状の把握―

研究代表者
内山 高(地球科学研究室)
共同研究者
山本真也(地球科学研究室)
研究協力者
笠井明穂(地球科学研究室)
研究期間
平成25年度~27年度

研究背景・ニーズ

地元では、富士五湖、特に河口湖の自然環境が30~50年前に較べて悪化しており、河口湖底のヘドロ(汚泥)の堆積が自然環境悪化の主たる原因だと考えられている。これ以上河口湖の環境悪化が進行しないよう、対策を講ずる要望が出てきた。そのためには、現状を把握し、過去に較べて環境悪化が進行しているかを突き止める必要がある。

事前研究として、プロジェクト研究「富士五湖周辺の自然環境変遷史に関する研究」において湖底堆積物の分布状況や厚さを把握し、湖底堆積物を採取した。この試料を用いて、微化石、有機化学分析を通じて環境変遷を明らかにした。このうち、湖底表層部では有機化学分析による化石燃料史を解明し、環境の悪化の原因を考察した。

研究目的

河口湖の底質が過去に較べて悪化しているかどうかを明らかにするために、湖底堆積物の物理的および化学的性状を分析、把握する。さらに環境対策を講ずるために資する基礎資料を得ることを目的とする。

研究計画

  1. 河口湖流入河川の流量と物質性状の把握(H25-27)
    • 流入河川流量の観測(H25-)
    • 水質分析と流入物質の解明(H25-)
  2. 河口湖底質の物理的性状の把握と地球化学的分析(H26-27)
    • 湖岸および湖底表層堆積物の物理的性状(粒度、厚さや分布範囲)の把握(H26)
    • 底質試料の年代測定(H26)
    • 底質試料の地球化学的性状の分析と解析(H26-27)
  3. 総合解析(H27)

期待される研究成果

  • 仮に環境悪化が認められた場合、その悪化した内容ものを所管する部署が対策を講じる貴重な資料となる。
  • 地元では、漠然と環境が悪くなっていると考えており、かなりの危機感、不安感を持っている。このため、何が悪いのか、具体的なものを示すことにより、地元の環境への意識、保全運動向上の機運が期待できる。