総合理工学研究機構
富士北麓水資源の保全と活用のための水文科学的研究

研究代表者
内山 高(地球科学研究室)
共同研究者
環境科学研究所:瀬子義幸 長谷川達也 山本真也 赤塚 愼
衛生環境研究所:吉澤一家 小林 浩 小田切幸次
静岡県環境衛生科学研究所:村中康英 神谷貴文 渡邊雅之
都留文科大学:内山美恵子
山梨大学国際流域環境研究センター:佐野哲也 中村高志
研究協力者
笠井明穂(地球科学研究室)
研究期間
平成25年度~27年度

研究概要

富士北麓の水資源、地下水・湧水の量的、質的安全性を確保するために水文科学的研究を行う。水文科学的研究では、レーダ観測による高精度の降水量推定や、リモートセンシングに加え最新方法による蒸発散量の推定を行い、水文モデルを構築する。さらに、このモデルに基づいたシミュレーションを用い、地下水・湧水からなる水資源の量と質の定量的把握を行う。

背景・目的

本県は生活・産業用水の水源の約6割を、とくに富士北麓地域ではほぼすべてを、地下水・湧水等に依存している。さらに、近年では富士山の地下水の水質特性から水産業が急発展し、富士北麓では開発増加による湧水枯渇等の地下水障害が懸念される。このような状況で,富士北麓地域発展のためには安全、良質な水資源としての地下水等の安定的な利用とその保全が不可欠であり、将来にわたり安全な地下水・湧水を安定的に利用していくために、気象変化など水文条件の影響を考慮に入れた、総合的な水文科学的研究に基づいた水資源の総合管理・保全計画が必要とされる。

研究内容

  1. 水文学的現況の把握
    • レーダ観測による降水量の高精度の推定を行い、リモートセンシング等により蒸発散量を推定する。
  2. 水の由来に関する水文科学的研究
    • 地表水,地下水主要帯水層・湧水の水質分析と降水,地下水の安定同位体解析を行う。
  3. 忍野八海等の湧水の物理的・化学的特性の把握
    • 世界文化遺産の構成要素となっている忍野八海等について湧水の物理的・化学的特性の詳細を明らかにする。
  4. 水循環系の解明
    • 主帯水層の3次元水理地質構造モデルを構築して、水シミュレーションと水収支解析を行う。
  5. 水資源の保全と活用策
    • 将来予測モデルの構築と検証するためのモニタリングシステムを構築する。

成果の応用範囲・留意点

富士山・富士五湖の世界文化遺産としてふさわしい、「健全な水循環の確保と保全」のための地下水活用・管理計画の基礎資料となる。