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プロジェクト研究(平成21年度~平成24年度)「山梨県の心血管疾患危険因子の地域差に関する研究」

人の健康は、遺伝的要因および様々な環境要因によって決まると考えられています。 我々は、水道水中バナジウム濃度の高い富士北麓地域の住民の健康状態を把握する先行基盤研究の中で、この地域の1998~2002年(5年間)の全心疾患・急性心筋梗塞の標準化死亡比が、男女共に山梨県の二次医療圏(8地域)の中で最も高いことを認めました。 また、自治体と受診者の協力のもとに住民検診で収集した約800人分のデータを解析した結果、富士北麓地域では対照地域として調査した峡北地域よりも尿中塩分濃度が高く、また動脈硬化がより進んでいる可能性が示唆されました。

本研究はこれらの結果に基づき、主に急性心筋梗塞の危険因子について山梨県内の地域差を明らかにすることを目的としています。 また、これまで環境生化学研究室では健康影響を及ぼす因子のひとつとして生体微量元素を研究してきましたが、本研究においても微量元素に着目して研究を進めます。 得られた成果は山梨の地域住民の健康増進に活用することを目指しています。

基盤研究(平成22年度~平成24年度)「無機バナジウムの吸収ならびに生体応答に関与する因子の解明」

富士北麓の住民は、毎日飲料水からバナジウムを摂取しています。 しかし、バナジウム摂取に起因すると考えられる健康影響(良い影響・悪い影響)は報告されていません。 これは、飲料水中のバナジウム濃度が低いことと、飲料水に含まれる無機バナジウムの吸収率が悪いことによると考えられます。

本研究では、無機バナジウムの吸収および毒性発現に関与する因子の解明を目指すとともに、 組織における物質の吸収部位でのバナジウムの作用についても検討を行います。 この研究成果を活用すれば富士山地下水に含まれるバナジウムの健康に良い作用を増強させることができ、生活習慣病の予防にも役立つ可能性が考えられます。 また、バナジウムの健康に良くない作用の増強に起因する健康被害を未然に防ぐことができ、食の安全にも貢献できる可能性があります。

過去の研究テーマ

  • プロジェクト研究「山梨県の水環境(特に地下水)の化学的特徴の把握」(平成9年度~平成12年度)
  • プロジェクト研究「富士山周辺における自然特性に関する研究」(平成9年度~平成13年度)
  • 特定研究「魚の雌化を指標とした環境ホルモンの影響に関する調査研究」(平成11年度~平成13年度)
  • プロジェクト研究「山梨県の水質の地域特性とその健康影響に関する研究」(平成13年度~平成15年度)
  • 受託研究「富士スバルライン環境影響評価」(平成9年度~平成11年度) ※分担研究
  • 受託研究「生態系多様性地域調査(富士北麓地域)」(平成13年度~平成15年度)
  • 基盤研究「微量元素の生体影響評価法に関する研究」(平成9年度~平成18年度)
  • 基盤研究「環境ホルモン等環境化学物質の野生生物に対する影響評価に関する研究」(平成15年度~平成18年度)
  • 基盤研究「飲料水中微量元素の地域差がヒトに及ぼす影響に関する基礎的研究」(平成18年度~平成19年度)
  • 21世紀COEプログラム「アジアモンスーン域流域総合水管理研究教育(山梨県山梨大学連携事業)「微量元素と安定同位体比測定による水質の地域特性調査」(平成15年度~平成20年度)
  • 総合理工学研究機構「ブドウ搾り滓を活用した家畜排せつ物の堆肥化および環境負荷低減化技術の開発」(平成19年度~平成21年度)
  • 基盤研究「微量バナジウムの脂質代謝への影響に関する研究」(平成19年度~平成21年度)
  • 特定研究「県内における民生家庭部門の温室効果ガス排出構造の把握に関する研究」(平成21年度~平成23年度)