森林セラピーに関する科学的検証と適用

森林セラピーイメージ画像1 森林セラピーイメージ画像2

本研究室では,県民の心身健康維持・増進を目的として,森林セラピーによる生理的,精神的効果の検証に取り組んでいます.具体的に森林セラピーとは,森林環境を総合的に活用した森林浴,レクリエーション活動,リハビリテーションなどを示します.県土の78%を森林が占める本県では,このような健康維持法は,比較的容易に始められることが特徴です.

森林には,視覚,聴覚,嗅覚,触覚,味覚の快適性をもたらす要素(表1)が数多く含まれ,これらが感覚器官を通じて人体に作用し,体のはたらきを良好なバランスに変動させる可能性をもっています.本研究室においても,樹木の香りの吸入や森林中の座観が,心理的リラックス効果,不安低減,唾液中の免疫グロブリンA(sIgA)の濃度上昇をもたらすことを報告してきました.また樹木の香りが被験者にとって好みのものであると、この効果はさらに大きく現れることもデータによって示されました.さらに,セラピーウォークは適度な有酸素運動となり,快感情を増幅させる効果がもたらされることも報告していきました.

以上のように本研究室は,森林セラピーに関する生理学的,心理学的根拠を蓄積しながら,それらを実践するための活動を積極的に適用することを目指しています.

五感を刺激する快適性の要素
視覚 美しい風景や森林景観、草花、野鳥
嗅覚 フィトンチッド、緑の香り、花の香りなど森の香り
聴覚 葉擦れ音、風の音、渓流音、小鳥等の鳴き声、森の静けさ
触覚 木の肌触り、土を踏む感触、森林内の風
味覚 キノコ、山菜、木の実など森の産物

引用文献:山梨県森林環境部 森林セラピー推進指針 ―「森の癒し」の活用に向けて―
平成18年3月発行

関連研究ポスター

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2006年「武田の杜セラピーウォーク」における測定の例

散策のようす
武田の杜散策写真1 武田の杜散策写真2
散策中の分時心拍率(bpm)の変動
bpm変動グラフ

傾斜に応じて心拍率の上昇が生じる.これは森林の散策が適度な有酸素運動となっていることを示す.

森林散策による感情評価への影響
感情評価グラフ

散策後において負の感情(緊張・不安,抑うつ,敵意,疲労,混乱)は減少し,正の感情(活気)が上昇している.