環境情報センター

新着図書紹介
『蟻の自然誌』
バート・ヘルドブラー、エドワード・O・ウィルソン著
辻和希、松本忠夫訳
朝日新聞社 1997 319p

 アリは私達にとって身近な昆虫であり、誰もが地面を這うその姿を日常的に目にすることができます。幼い日には、食糧を運ぶアリの行列を時間を忘れて眺めていたり、巣作りの様子、その生活ぶりを観察した人も少なくないと思います。

 本書は世界的昆虫学者バート・ヘルドブラーとエドワード・O・ウィルソンによって著わされました。両名は1990年に、やはり共著である『 蟻 』によりピュリッツァー賞を受けていますが、同書が専門家が対象の書籍であったのに対して、今回の『蟻の自然誌』はより一般向けの資料となっています。100枚近くのカラー写真やイラストが収録され、写真集としても楽しめます。また、原題の『JOURNEY TO THE ANTS 』からも窺えるように、2人が如何なる経緯でアリに魅了されていったかも記されおり、アリへの愛情と情熱に満ちた、その研究の軌跡を辿ることができます。

 1億年前の恐竜時代に出現したアリは地上の至るところで種類を増やし、現存する種類は数万に上るといいます。その過程で、他種類のアリを搾取するもの、昆虫を家畜化し遊牧生活を送るもの、軍隊アリ等々が現れました。アリ科の生物多様性、驚くべき生態が本書には溢れています。

 それは一見、人間社会の縮図のようにも思われますが、著者は「人類は生物の現存量と多様性の大きな部分を破壊し、われわれ自身の生物学的優勢を逆説的に示している成功を台無しにしている。もし、人類のすべてが消え失せたら、残りの生物は、たちまち繁栄を取り戻すだろう。−中略−だが、もしアリが何らかの理由ですべて消え失せたら、その影響はまったく正反対で破滅的だ。」と述べています。


ビデオコーナー

 環境情報センターのビデオコーナーには現在131本のビデオが収蔵されています。2台のビデオブースで視聴することがでます。1台で3人まで一緒に見られますので、休日などにご家族で利用されてはいかがでしょうか。

 
人気ビデオ BEST3

第1位 『地球の秘密』1.2
坪田愛華・作
日本コロムビア 各25分

読書好きの小学6年生留美ちゃんは、ある日市立図書館で『地球の秘密』という本をみつけました。友達の英一君の家で一緒にこの本を読み始めたところ本のページの間から不思議な煙がモクモク!そこから「アースくん」が飛び出してきたのです。2人はアース君の案内で「地球の秘密」を探る旅に出ました。自然のすばらしさを知り、また酸性雨やオゾン層の破壊など深刻な問題を目の当たりにして、2人は「環境保護」意識に目覚めていきます。

 原作者、坪田愛華さんは1991年当時小学6年生。担任の先生から与えられた環境問題に関する課題を「小学1年生でもわかるように」と、漫画で表現しようと考えました。『地球の秘密』と題した30ペ−ジほどの作品を2カ月がかりで書き上げ「この本を作って」と題する最後の感想文を書き終えた数時間後に、愛華さんは脳溢血に倒れ、亡くなりました。


第2位『森の妖精 ヤマネ』
講談社 37分

 体長12cm、体重25gの国の天然記念物ヤマネ。日本の山で1年の半分近くを冬眠して生き抜く幻の小動物の生態を描きます。


第3位『深田久弥の日本百名山』 全20巻
山と渓谷社 各55分

 若年層から中高年まで多くの登山者のバイブルとなっている深田久弥の著作『日本百名山』をビデオ化。空撮と地上映像、登山地図も加えて構成されています。


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