環境情報センター


□新着図書

『世界でいちばん美しい物語』
ユベール・リーヴズほか著
木村 恵一訳
筑摩書房 1998

 「私たちはいったい何者なのか。どこからやって来て、どこへ行こうとしているのか。−中略− 何のために生きているのか。なぜ世界が存在するのか。なぜ私たちはここにいるのか。」 本書は、宗教または哲学の領域であったこれらの疑問についてフランスの週刊誌「レクスプレス」の副編集長ドミニク・シモネが3人の科学者に質問を浴びせる対談集です。

 第一幕では、宇宙物理学者ユベール・リーヴズが150億年前のビッグバンという光の大爆発によって始まった、「宇宙」の起源を語ります。「これ以前に何もなかったのか」という問いに対してリーヴスは「それ以前の時期が存在したことを証拠立てるデータも、その手がかりとなるような材料も何もない。」と答えています。

 第二幕「 生命 」では、分子生物学者ジョエル・ド・ロネーが地球上の生命が誕生を解いていきます。太陽からの程よい距離、特定の自然環境を得て、自然淘汰され、物質(無生物)の中から生命が誕生する過程が鮮やかに語られていきます。

 そして、第三幕では古生物学者イヴ・コパンスと、乾燥したサバンナに生み出されたヒトという特殊な種について対談を繰り広げます。

 科学者との対談集でありながら、その深遠なテーマ故か、哲学の問答集のような印象も受けます。またここで語られる宇宙、生命、人類の誕生の歴史と、神話や宗教説話との符号にも、ふと立ち止まらされます。私たちは、宇宙の中に太陽系が存在し、その中に地球という惑星が生まれ、そこに人類が誕生し、と考えていくと、何か運命的な、あるいは見えない意図のようなものを感じて、高揚した思いに駆られます。

 シモネも第二幕の中で、思わず「それにしても、なんという偶然の積み重なりでしょう。」と声を上げる場面があります。これに対し、ド・ロネーは無数の進化の道筋の途絶えた結果が、そこにあり、生物は物質進化の延長線上の生まれたものであって、偶然の産物ではないと冷静に言い切っています。

 人類、生命、宇宙の未来への展望について4人で語り合うエピローグは、今なお進行していく一つの進化の過程において、人類が自分自身の力と共存していけるかどうかが私たちに問われていることであり、この美しい物語続いて行くかどうかは、すべて私たち次第だと結ばれています。


□ダイオキシン・環境ホルモン関連資料

 近年、環境問題の中でダイオキシン、環境ホルモンが大きな問題となっており、新聞紙上でもこの言葉見かけない日はありません。生活環境や日常摂取する食品、また将来に対して強い不安を抱く人も少なくありません。

 環境情報センターではこれに関連する様々な情報を多角的に収集していきたいと思っています。そのうち現在収蔵している図書の一部を紹介します。ご利用下さい。

『奪われし未来』            シーア・コルボーン著 翔泳社
『環境ホルモン』            田辺 信介著 岩波書店
『環境ホルモン』            外因性内分泌撹乱化学物質問題に関する研究班編 環境新聞社
『環境ホルモンとは何か T』       綿貫 礼子ほか著 藤原書店
『ゴミと化学物質』           酒井伸一著 岩波書店
『しのびよるダイオキシン汚染』     長山 淳哉著 講談社
『ダイオキシン汚染列島日本への警告』  ダイオキシン問題を考える会編 かんき出
『ダイオキシンから身を守る法』     成星出版
『ダイオキシンゼロへの挑戦』      駒橋 徐著 日刊工業新聞社
『ダイオキシンのリスク評価』      中央法規出版
『ダイオキシン類測定マニュアル』    公害対策技術同友会
『ダイオキシン類のはなし』       酒井 伸一著 日刊工業新聞社
『沈黙の春』              レイチェル・カーソン著 新潮社
『メス化する自然』           デボラ・キャドバリ著 集英社
『猛毒ダイオキシンと廃棄物処理』    藤木 良規著 筑波出版会
『よくわかるダイオキシン汚染』     宮田 秀明著 合同出版

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