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新刊案内

『賢治鳥類学』
赤田秀子・杉浦嘉雄・中谷敏雄著
新曜社 1998

 1996年に生誕百年を迎え、その後も引き続き、宮沢賢治関連の多くの出版物が刊行されています。また、ナチュラリストとしての賢治も注目され、賢治と星、植物、動物といった視点での書籍の出版も相次いでいます。

 本書は宮沢賢治研究会の会員として長年に亙ってその作品に触れ、かつ鳥にも造詣が深い3名の著者によって書かれたものです。

 賢治の作品には、様々な鳥たちが印象的な姿で登場します。これらの鳥たちの生態を自然科学的に解説すると共に、詩、童話、短歌などを引用して作品を鑑賞しています。その中で作品成立の過程、時代背景や賢治を取り巻く状況なども記述されています。また、当時は性能のよい双眼鏡など普及しておらず、「鳥 」という概念は食用、あるいは籠に入れて飼うもの程度であったとのことですが、これらを踏まえて、作品に触れて見ると、自然観察者としての賢治の見識の高さ、鋭い眼力に改めて驚かされます。

 宮沢賢治と鳥と聞くと「よだかは、実にみにくい鳥です。」 と始まる『よだかの星』の切ない物語が思い出されるのですが、本書の中でも「山野の鳥」として取り上げられています。この夏初めてヨタカの姿を目にし、毎晩ほぼ同じ時刻にその特色のある声を耳にしたのですが、その習性、鳴き声の表現、新たな作品の構想など興味深
く読むことができ、賢治文学の別の扉が開かれたように思われました。

 また、巻末の「宮沢賢治バードウォッチング」には、賢治の草稿群にあらわれる全ての鳥が採集されているのですが、文学作品において語彙の使用頻度は、作者の意図、あるいは潜在意識を物語る重要な手掛かりとなり、そのような観点からも貴重な資料と言えるでしょう。

 「賢治文学に登場する鳥の生態から出発し、その本質に迫ろうとした」著者の姿勢が全編に貫かれています。

(三澤 麻須美)


ダイオキシン・環境ホルモン関連資料 A
『環境ホルモン』              高杉暹著 丸善
『環境ホルモン汚染』            中原英臣著 かんき出版
『環境ホルモンから家族を守る50の方法』  環境ホルモンを考える会編 かんき出版
『環境ホルモンと日本の危機』        小島正美著 東京書籍
『環境ホルモンとは何か U』         綿貫礼子編 藤原書店
『環境ホルモンに挑む』           日経BP社医療局 日経BP社
『環境ホルモン入門』            立花隆著 新潮社
『環境ホルモンの恐怖』           環境ホルモン汚染を考える会編 PHP研究所
『環境ホルモンの避け方』          天笠啓祐著 コモンズ
『STOP!食品・母乳のダイオキシン汚染』 宮田秀明著 食べもの通信社
『生殖異変』                井口泰泉著 かもがわ出版
『ダイオキシン汚染』            青山貞一著 法研
『ダイオキシン・ゼロ社会へ』        藤原寿和著 リム出版新社
『ダイオキシン入門』            篠原亮太訳 日本環境衛生センター
『ダイオキシンの排出削減に向けて』     ぎょうせい
『ダイオキシン100の知識』        左巻健男ほか著 東京書籍
『日本発環境ホルモン報告』         山本猛嗣著 日刊工業新聞社
『廃棄物処理とダイオキシン対策』      平岡正勝著 環境新聞社
『よくわかる環境ホルモン学』        シーア・コルボーンほか編 環境新聞社

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