研究紹介

『環境計画学研究室』

山梨県の環境を宇宙からの視点で明らかに

宮崎忠国・ 杉田幹夫・ 内田美香

 宇宙から地球を観ることは、環境を科学する上で非常に重要な視点です。高い山に登れば眼下を遠くまで見渡せるように、宇宙からは地球の広い範囲を一望できます。視点を変えることで、見慣れた風景の中で見過ごしていたものを再発見するという経験は誰にでもあるでしょう。同じように、地上に固定された視点からでは見えない、あるいは、正体のつかめない現象も、宇宙から地球を観る視点によって明らかになることがあるのです。

 宇宙から地球を観る視点を与えてくれる道具として人工衛星があります。例えば、気象情報で雲の動きを伝えてくれる気象衛星「ひまわり」は最も馴染みの深い衛星です。地球観測衛星としては「ランドサット」衛星が有名で、その観測画像をご覧になったことのある方も多いでしょう。現在では、欧米や日本をはじめ各国が打ち上げた多数の人工衛星が、地球を観測しています。

 環境計画学研究室では、こうした人工衛星による宇宙からの地球観測データ、あるいは航空機などによる上空からの観測データを使って研究を進めています。すなわち、対象物に直接触れることなく観測を行なう「リモートセンシング」技術を活用し、山梨県における環境の現状把握、環境変動の調査を目指した研究に取り組んでいるのです。その主な研究テーマを以下に紹介します。

図
富士北麓の土地被覆分類

(1) 広域環境調査手法と環境の指数化に関する基礎的研究

 人工衛星データを利用した環境調査を定常的に精度良く行なうためには、画像処理を含む技術開発や将来予測モデルの開発、さらには衛星画像データベースシステム構築などに関する研究が必要不可欠です。衛星データを利用した環境監視システムの開発に関する研究、特に、大気、水、植生、土壌、地質、土地利用などの現況や過去からの変化、さらには将来予測などに関する手法の開発を行い、山梨県の環境監視と予測のための環境情報処理システムの構築のための技術開発を行っています。

(2) 環境変動把握手法と環境変動モデリングに関する研究

 地域的な自然環境の変動は人間活動と密接な関係を有し、地域の持続的発展を維持しながら自然活動の保全を目的とした施策が必要になります。人間による社会・経済的活動が自然環境に与えた影響を評価するため、自然環境の変動を把握する手法を開発し、環境変化予測モデルを開発し、環境施策のための基礎的な情報の提供を目的としています。

メンバー
研究室メンバー近影

(みやざき ただくに,すぎた みきお,うちだ みか)


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