研究テーマ

現在行っている研究

重点化研究
「急性高山病の要因を脳循環応答から検証する~安全な富士登山確立に向けて~」
平成25~27年度

本年、富士山が世界文化遺産に登録され、今後ますます登山客が増える事が予測される。一方、富士山のような高所では急性高山病発症のリスクも高まる。急性高山病の典型的な症状は浮腫を引き金として起こる頭痛である。本研究では、富士山をより身近で安全に楽しんでもらうために、急性高山病発症の要因を脳循環応答、さらには体液調節、体温調節能の側面から解明しようとしている。

特定研究(依頼元:森林環境部県有林課)
「都市近郊の里山林における「森の癒し機能」の効果的な発揮に関する研究」
平成24~26年度

これまで、森林での歩行運動は、強度が低い(軽い散策)にも関わらず、中高年者の血圧を低下させ、心臓の拍動間隔を規則化させ、さらに免疫グロブリンA(sIgA)の分泌が増加することを明らかにしてきた。さらに、森林などから発生する音に含まれる20 kHz以上の超高周波数音は、脳波のα波成分を増加させることが明らかになった。これらの知見から、森林内での座観や運動は、脳活動や循環応答に好ましい影響を与えている可能性がある。本研究では、これらの反応に年齢差、性差を含めた個体差があるのかを検証する。また、個々の体力レベルの差を考慮し、歩行の強度や時間がどのような影響を及ぼすのかを検討する(環境生理学研究室が分担)。さらに、参加者からのフィードバックを促し、散策路およびその周辺環境の維持、管理についても望ましい提言をすることを目的とする(人類生態学研究室および環境計画学研究室が分担)。

これまでに行った研究

プロジェクト研究
「自然環境から発生する音が聴覚中枢の活動に及ぼす影響に関する研究」
平成23~24年度

森林や流水から発生する音に含まれる20 kHz以上の周波数成分(超高周波数音)は、人には聴こえないが、脳の働きに影響を与えることが先行研究の結果からわかった。そこで次の段階として、超高周波数音が人の聴覚中枢の活動に与える影響と聴覚以外の感覚情報処理に与える影響を検討した。その結果、超高周波数音を聴取しても、聴覚中枢に好ましい影響(例えば聴力の向上)を与える事はなかった。また、感覚情報処理に与える影響を検討するために、超高周波数音の聴取が身体重心動揺に与える影響を検討したところ、超高周波数音を聴取することで、重心の不安定さが増大することが明らかになった。これらのメカニズムは依然不明であるが、超高周波数音の聴取は脳活動のみに好ましい影響を与える可能性が示唆された。

基盤研究
「運動がもたらす血圧低下作用に現れる年齢差とそのメカニズムに関する研究」
平成23~24年度

森林での軽い散策は、中高年者の血圧を低下させるが、若齢者では一様な効果が見られないことを先行研究によって明らかにした。そこで、中高年者では、若齢者より少ない運動量で運動後低血圧が起こることを検証することで、低強度運動後の血圧応答を若年者と比較検討した。その結果、安静時の圧受容器反射は高齢者で有意に低下していたが、運動後低血圧反応に両者の差はみられなかった。この理由は運動強度に起因していると考え、また中高年者は体温調節能が若年者より劣っている事から、次に若年者のみを対象にして、中強度以上の運動後の血圧応答を、常温環境下と暑熱環境下で比較検討した。その結果、暑熱環境下では、脱水に伴う静脈還流量の低下が認められたものの、運動後低血圧反応は、環境温の違いに影響されなかった。これらの結果は、若年者の場合、体温調節能は運動後低血圧反応に影響を及ぼさないことを示唆するものである。倫理的な問題から高齢者対象に同実験が行えず、今後更なる検討が必要である。

理工学研究機構共同研究
「自然資源のもたらす保健休養上の効果に関する研究」
平成20~22年度
  • サブテーマ1:自然環境の発する音(超高周波数音)が人に与える影響

    森林の葉擦れや流水などから発生する音には、20 kHz以上の超高周波数音が含まれている。超高周波数音は人には聴こえない。しかし、被験者に超高周波数音を含む自然音と、超高周波数成分を除去した音を聴かせ、脳波の変化を比較すると、超高周波数音を含む音を聴いた時の方が、脳波のα1成分の増加幅が大きいことがわかった。この結果は、超高周波数音が人に鎮静効果をもたらす可能性を示している。

    pdfファイル ポスター(456KB)

  • サブテーマ2:準高地の酸素条件が人に与える効果

    海抜1000~2000 mの準高地で運動すると、運動中に体内で発生する活性酸素によって生体が受ける傷害の程度が軽いことを先行研究によって見いだした。そこで、準高地の酸素条件下は体内における抗酸化物質ビリルビンの産生を盛んにするという仮説を立てた。この仮説を確かめるため低酸素テントを用いた実験を行った。その結果、高地から低地へ移動することによる酸化ストレスは、事前に準高地の酸素条件に滞在することで軽減することがわかった。予め準高地の酸素条件に滞在することで間接ビリルビン濃度が上昇していた。わたしたちの仮説を支持する結果が得られた。

基盤研究
「精神的ストレス環境下の認知処理機構とストレス増減作用に関する研究」
平成19~22年度

人がストレスを受けると、自律機能や粘膜免疫、筋の協調運動などにストレス反応が現れる。このようなストレス反応に、個人個人のストレス対処行動や不安レベル、不安感受性がどのように影響するかを明らかにするための実験を行った。

  • ストレス対処行動とストレス反応

    人のストレス対処行動をラザルス (Lazarus)に従って問題解決型と情動中心型に大別し、急性の受動ストレスを与えた場合の反応を比較すると、問題解決型では皮膚血管や心機能に現れるストレス反応が顕著であるのに対し、情動中心型では粘膜免疫と担当する分泌型免疫グロブリンA (sIgA)の分泌低下が顕著であった。ストレス対処法を予め知ることで、個人に適したストレス軽減法を提案できる可能性がある。

  • 不安レベル、不安感受性と筋の協調運動

    筋の協調運動の指標として直立時の姿勢動揺を計測し、不安レベルとの関連を解析した。前方に固定された視標をみて直立するときの動揺距離と動揺面積は、不安レベルと正の相関を示した。姿勢動揺の周波数組成にも不安レベルは影響を与えた。不安の影響は開眼時のみに見られ、閉眼することで消失した。前後方向に動く視標を見て立つ場合には、不安レベルが高いほど、視標の動きに誘発された姿勢動揺は少なかった。高不安時には、静止視標による姿勢安定化効果が小さく、視標の動きに誘発される姿勢動揺も少なかった。このことは、高不安時と低不安時では、直立姿勢を維持するために利用する視覚的手掛かりが異なることを示している。

研究の詳細は、以下の業績をご覧ください。

  • 永井正則(2011)不安レベルと不安傾向が生理機能に影響する.自律神経 48: 192-195.
  • Ishida M., Saitoh J., Wada M. and Nagai M. (2010) Effects of anticipatory anxiety and visual input on postural sway in an aversive situation. Neuroscience Letters 474: 1-4. (doi:10.1016/j.neurolet.2010.02.052)
  • 永井正則,石田光男(2009)妊娠中の立位姿勢の維持.自律神経 46: 565-568.
  • Nagai M., Ishida M., Saitoh J., Hirata Y., Natori H. and Wada M. (2009) Characteristics of the control of standing posture during pregnancy. Neuroscience Letters 462: 130-134. (doi:10.1016/j.neurolet.2009.06.091)
  • 石田光男,和田万紀,永井正則(2008)視覚刺激時の重心動揺に及ぼす不安の影響.自律神経 45: 196-199.
  • 大野洋美,和田万紀,永井正則(2005)不安と重心動揺.自律神経 42: 135-137.
  • 永井正則,大野洋美,齋藤順子,和田万紀(2004)ストレスと分泌型免疫グロブリンA.自律神経 41: 347-349. 
  • Ohno H., Wada M., Saitoh J., Sunaga N. and Nagai M. (2004) The effect of anxiety on postural control in humans depends on visual information processing. Neuroscience Letters 364: 37-39.
  • Nagai M, Wada M and Sunaga N (2002) Trait anxiety affects the pupillary light reflex in college students. Neuroscience Letters 328: 68-70.
  • Wada M, Sunaga N and Nagai M (2001) Anxiety affects the postural sway of the antero-posterior axis in college students. Neuroscience Letters 302: 157-159.
特定研究(依頼元:森林環境部森林環境総務課、林業振興課)
「木質内装材が人の心と体に与える影響に関する研究」
(平成19~20年度)

木質内装材が人の心と体に与える影響を、直立姿勢の安定化効果を指標として検証した。直立する被験者に左右に回転する縞模様を見せ姿勢動揺を誘発したのち、木目を含む様々な壁のシミュレーション画像および実際の壁材を提示して、誘発された姿勢動揺が小さくなるまでの時間を比較した。その結果、木目のシミュレーション画像および実際の木質壁材の姿勢安定化効果が、他の壁材より大きいことがわかった。主観的な立ちやすさも、木目および木質壁材で大きかった。被験者の嗜好は、木目のシミュレーション画像より実際の木質壁材の方が大きかった。以上の結果から、木質壁材は主観的な安定感をもたらすと同時に、視覚的手掛かりを提供することで直立姿勢を安定化することがわかった。

研究内容の詳細は「山梨県環境科学研究所 研究報告書第25号(2010)」をご覧下さい。

pdfファイル ポスター(563KB)

プロジェクト研究
「森林と高原の環境を活用したストレス軽減法に関する研究」
平成18~22年度
  • サブテーマ1:森林の利用

    1時間程度の森林散策の効果を、若齢者と中高年者とで比較することにより、以下のことが明らかとなった。

    1. 森林散策は中高年者の血圧を低下させる。

      1時間程度の森林散策で、中高年者の血圧(収縮期圧)が低下することがわかった。平均年齢25歳の大学生では、森林散策によって血圧が低下することはなかった。

    2. 森林散策を繰り返すことで中高年者の血圧が順次低下していく。

      週1度1時間程度の森林散策を繰り返すことで、散策開始前の血圧(収縮期圧)が順次低下していくことがわかった。一般的に中高年者の血圧は高めであるが、降圧剤を服用している被験者群と服用していない被験者群で比較すると、降圧剤非服用群で散策の繰り返し効果がより顕著に現れていた。

    3. 森林散策による血圧低下は、散策後数時間持続する。

      森林散策によって低下した血圧(収縮期圧)は、散策後3時間目でも低いレベルに留まっていた。

    4. 森林散策のもたらす心理効果には馴れの現象(馴化)がない。

      森林散策に寄って緊張や不安、怒り、敵意といったネガティブな気分が軽減し、活気が増す。このような心理効果には、森林散策を繰り返すことで馴れ(馴化)が生じることはなく、散策のたびに好ましい効果が現れた。

  • サブテーマ2:高原環境の利用

    海抜1000から2000 mの準高地で運動を行なうと、運動中に体内で発生した活性酸素によって生体成分や遺伝子が受ける酸化ストレスの程度が、低地に比べて軽いことを以前報告した。その際、運動後のバイオピリンの尿中への排泄が、低地に比べ準高地で多いことが明らかとなった。バイオピリンは、赤血球中の血色素ヘモグロビンの代謝産物ビリルビンの酸化物である。このことから、準高地において運動に伴う酸化ストレスが軽減される理由は、準高地の酸素条件が体内でのビリルビン産生を増加させるためであると考えた。この考えを確かめるための低酸素テントを用いた実験を行なった結果、以下のことが明らかとなった。

    1. 準高地では血中ビリルビン濃度が高くなる

      準高地の酸素条件下に滞在すると、同じ時間低地の酸素条件下に滞在する場合に比べ、血中ビリルビン濃度が高くなった。体内でのビリルビン合成の律速酵素であるヘムオキシゲネース-1 (OH-1: hemoxygenese-1)の濃度も準高地で高い傾向を示した。

    2. 準高地での運動は尿中へのバイオピリン排泄を増やす

      準高地の酸素条件下に滞在する場合、事前に運動を行なうと尿中へのバイオピリンの排泄量が増加する。

    3. 準高地での運動によりヘムオキシゲネース-1の合成が盛んになる

      準高地の酸素条件下に滞在する場合、滞在中に運動を行なうとバイオピリンの尿中への排泄量が増加するとともに、ビリルビン合成の律速酵素であるヘムオキシゲネース-1の遺伝子 (OH-1 mRNA)の発現量が増加した。以上の実験結果から、準高地の酸素条件が体内でのビリルビン産生を増加させることで、酸化ストレスを軽減するという仮説準高地の酸素条件下に滞在する場合、滞在中に運動を行なうとバイオピリンの尿中への排泄量が増加するとともに、ビリルビン合成の律速酵素であるヘムオキシゲネース-1の遺伝子 (OH-1 mRNA)の発現量が増加した。

    以上の実験結果から、準高地の酸素条件が体内でのビリルビン産生を増加させることで、酸化ストレスを軽減するという仮説が支持された。

研究内容の詳細は「山梨県環境科学研究所 研究報告書第26号(2011)」をご覧下さい。

pdfファイル ポスター(419KB)

基盤研究
「環境要因と睡眠の質に関する研究」
平成15~17年度

日本人の睡眠時間が年々短縮していることが危惧されている。香り環境を工夫することで、短くなった睡眠の質を維持・向上させることができるかどうかを確かめる実験を行ない、以下の結果を得た。

  1. ラベンダーの吸引は、ストレス負荷時の睡眠の質を改善する。

    ストレスを負荷時の睡眠に、ラベンダーの吸引がどう影響するかを調べた。ラベンダーの吸引は、徐波睡眠の時間を延長し、中途覚醒の時間を短縮することで、ストレス負荷時の睡眠の質を改善することがわかった。

  2. ラベンダーの吸引は、ストレス負荷時の自律神経機能を改善する。

    睡眠中は心拍数が低下するが、ストレス負荷時の睡眠では、睡眠中の心拍数減少の程度が小さい。ラベンダーの吸引によりストレス負荷時の睡眠中でも、心拍数の充分な減少が起こり、その原因は心臓副交感神経の活動が増加するためであることを明らかにした。

研究の詳細は、以下の業績をご覧ください。

  • Ohno-Sadachi, H., Saitoh, J. and Nagai, M. (2011) The odor of lavender maintains the pattern of autonomic nervous activities during sleep in humans exposed to stress. Mt. Fuji Research 6: 9-15. pdfファイル:1071KB
  • 大野洋美,永井正則(2007)香りと睡眠 ―ラベンダーの香りが睡眠中の自律神経活動に及ぼす影響―.自律神経 44: 94-97.
  • Ohno H, Urushihara R, Sei H and Morita Y (2002) REM sleep deprivation suppresses acquisition of classical eyeblink conditioning. Sleep 25: 877-881.
特定研究(依頼先:商工労働観光部産業交流課)
「高原地域の環境が人の心と体に与える効果に関する研究」
平成13~14年度

運動によって体内で発生する活性酸素が、生体成分や遺伝子に与える傷害の程度を、海抜1400 mの準高地と海抜350 mの低地で運動する場合とで比較した。尿中の過酸化脂質は、低地での運動で顕著に増加したが、準高地での運動では増え方が少なかった。傷害された遺伝子に由来する8OH-dGは、低地での運動で増加したが、準高地での運動では増加しなかった。一方、尿中のバイオピリンは準高地での運動で増加していたのに対し、低地での運動では増加は見られなかった。これらの結果から、準高地ではバイオピリンの前駆体ビリルビンが体内で増加することで活性酸素を中和し、そのため過酸化脂質や8OH-dGの尿中排泄が少なかったと考えることができる。運動中に発生する活性酸素によって生体が受ける傷害が、準高地では少ないことがわかった。

研究内容の詳細は「山梨県環境科学研究所 研究報告書第7号(2003)」をご覧下さい。

pdfファイル ポスター(417KB)

プロジェクト研究
「山梨の自然がもたらす快適性に関する研究」
平成12~15年度

森林や温泉のもたらすストレス軽減効果について実験を行ない、以下の結果を得た。

  1. 樹木の香りの吸引は、ストレスによってもたらされるネガティブな気分を改善するとともに、のどや気管を感染から防御している分泌型免疫グロブリンA (sIgA)の唾液中への分泌を高めることで粘膜免疫能を強化する。
  2. スギ花粉症の動物モデルを作成し、スギ葉精油が花粉症の症状を改善するかどうかを調べた。その結果、スギ葉精油を鼻腔内に塗布、または鼻腔周辺の皮膚に塗布することで、鼻汁の分泌とクシャミの回数が大きく減少することがわかった。
  3. 腰湯は胃腸の働きを改善すると言われている。腰背部皮膚の加温が胃の運動に及ぼす影響を胃電図を解析することで調べた。その結果、腰背部の加温は空腹時の胃に規則的な収縮運動(伝播性収縮運動)を誘発することがわかった。腰湯が胃腸の働きに及ぼす効果の一旦が明らかとなった。

研究内容の詳細は「山梨県環境科学研究所 研究報告書第13号(2004)」及び、以下の業績をご覧ください。

  • 永井正則(2003)皮膚加温による胃腸運動促進のメカニズム.自律神経 40: 219-221.
  • Nagai M, Wada M, Kobayashi Y and Togawa S (2003) Effects of lumbar skin warming on gastric motility and blood pressure in humans. Jpn. J. Physiol. 53: 45-51.
  • 北川行夫,佐藤昭子,臼井信男,永井正則(2003)スギ花粉症モデルモルモットのクシャミ・鼻汁反応に対するスギ葉精油の抑制効果.Aroma Research 4: 47-53.
基盤研究
「地域の環境が人の健康に及ぼす影響に関する研究」
平成9~13年度

低温下で腹痛や下痢が起こる原因をさぐるため、ラットの摘出消化管標本およびモルモット結腸紐のグリセリン処理標本を用いて実験を行なった。その結果、低温下では消化管平滑筋の収縮機構のカルシウム感受性が増大し、そのため胃腸の収縮反応が増強されることがわかった。低温環境下での腹痛や下痢の原因のひとつが明らかとなった。

研究の詳細は、以下の業績をご覧ください。

  • 永井正則(2005)なぜ体温は37℃か?―恒温性をめぐって.「体温のバイオロジー」,山陰道明監修,pp. 17-25,メディカル・サイエンス・インターナショナル社,東京.
  • Nagai M (2000) Hypothermia increases the contractile force of glycerinated smooth muscle. Biomedical Research 21: 41-43.
基盤研究
「人の認知過程に及ぼす環境の影響に関する研究」
平成9~13年度

快適感をもたらす香りの吸入が、知的作業を長時間続けた場合に起こる作業効率の低下を防ぐことを明らかにした。反応時間や正確度などの作業効率が維持されるのは、快適感をもたらす香りが集中力を高めるためであることを、脳波成分P300を指標として示した。

研究の詳細は、以下の業績をご覧ください。

  • 大野洋美,齋藤順子,和田万紀,永井正則(2007)グレープフルーツの香りの吸入が課題遂行に伴う集中力低下を防ぐ.Aroma Research 8: 60-63.
  • 和田万紀,臼井信男,佐藤昭子,永井正則(2003)快適な香りのもたらす生理心理作用.「アロマサイエンスシリーズ21 第7巻 香りの機能性と効用」,アロマサイエンスシリーズ21編集委員会,pp. 129-134,フレグランスジャーナル社,東京.
  • 和田万紀,臼井信男,佐藤昭子,永井正則(2003)快適な香りのもたらす生理心理作用.Aroma Research 4: 126-130.
プロジェクト研究
「快適な環境づくりに必要な基準についての研究」
平成9~11年度

香り環境や温熱環境、色環境などが人の心と体に与える影響について実験を行ない、以下のような結果を得た。

  1. 快適感をもたらす香りは、気分を改善するばかりでなく、有酸素運動中の血圧(拡張期圧)の上昇を抑える効果がある。
  2. 寒冷環境下での血圧上昇を防ぐために、背部の皮膚温を維持することが有効であることがわかった。
  3. 直立姿勢の安定性に及ぼす色環境の影響を分析した。開眼で視標を見て立つ場合、中心視野と周辺視野とのコントラストが強調されない色環境が、直立中の姿勢動揺を小さくすることがわかった。

研究の詳細は、以下の業績をご覧ください。

  • 和田万紀,臼井信男,佐藤昭子,永井正則(2003)快適な香りのもたらす生理心理作用.「アロマサイエンスシリーズ21 第7巻 香りの機能性と効用」,アロマサイエンスシリーズ21編集委員会,pp. 129-134,フレグランスジャーナル社,東京.
  • 和田万紀,臼井信男,佐藤昭子,永井正則(2003)快適な香りのもたらす生理心理作用.Aroma Research 4: 126-130.
  • Nagai M, Wada M, Usui N, Tanaka A and Hasebe Y (2000) Pleasant odors attenuate the blood pressure increase during rhythmic handgrip in humans. Neuroscience Letters 289: 227-229.
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